相手の鋭いスマッシュを、ネット前でふわっと止めてしまうブロックは、現代バドミントンの守備に欠かせない重要技術です。
レシーブが安定するとラリーが続き、試合の主導権を握りやすくなります。
本記事では、ブロックの基本的な考え方から、グリップやフォーム、足さばき、ダブルスでの戦術的な使い方、練習メニューまでを体系的に解説します。
初心者から上級者まで使える最新の考え方を整理していますので、自分のレベルに合わせてブロックを強化していきましょう。
目次
バドミントン ブロックの基本理解と役割
バドミントンにおけるブロックとは、主に相手のスマッシュや速いショットを、ラケットを大きく振らずに受け止め、ネット前へコントロールして返球する守備的な技術のことを指します。
特にダブルスで重要視されますが、シングルスでも守備の安定や配球の幅を広げるために必須のスキルです。
強打に対して無理に打ち返すのではなく、相手の力を利用して短く返すイメージが重要になります。
うまいブロックができると、相手はスマッシュを打っても決め切れず、ネットに走らされる展開が増えます。
これは守備から攻撃に転じるきっかけとなり、ラリー全体の主導権を奪うことに直結します。
一方で、雑なブロックは浮き球となり、決定打を許すリスクも高くなるため、安定性とコントロールを重視した技術習得が求められます。
まずはブロックの役割と種類を整理し、自分が試合でどのように使いたいのかを明確にしておくことが上達の第一歩です。
ブロックショットとは何かを正しく理解する
ブロックショットは、ラケットをほぼ振らず、面を作ってシャトルを受け止めるようにして返すショットです。
ナイスレシーブと表現される場面の多くは、実はブロックショットによるものです。
ラケットを引かず、体の前でコンパクトに構え、相手の打球の勢いを利用することがポイントになります。
ここで重要なのは、ただ当てるだけの「当て返し」と、コースや高さをコントロールする「意図のあるブロック」を区別することです。
ネットぎりぎりに落とすブロックを狙うのか、あえて少し浮かせて相手をバック側に動かすのか、状況に応じて打ち分けることで、守備の一手が攻撃の起点に変わります。
ブロックは受け身のショットではなく、ラリーをコントロールするための積極的な守備技術だと理解しましょう。
ドライブやプッシュとの違い
ブロックと混同されやすいのがドライブやプッシュです。
ドライブは、ラケットを前方に振り出してシャトルに自らスピードを与えるショット、プッシュはネット前から押し込むようにして速い球を打つショットです。
一方、ブロックは振りをほとんど使わず、相手の球速を吸収して短く返す点が決定的に異なります。
シチュエーションで整理すると、腰から胸の高さくらいで、余裕があればドライブやカウンタースマッシュを選択し、体に近く鋭いスマッシュに対してはブロックが効果的です。
この区別ができていると、守備時の判断が速くなり、無理なスイングでミスする場面が減ります。
それぞれのショットの役割を理解したうえで、瞬時に使い分けられるようになることがレシーブ力向上の鍵です。
シングルスとダブルスでのブロックの位置づけ
シングルスでは、ブロックはラリーをつなぐための安全な配球として使われることが多く、相手を前後に揺さぶる一手としても重要です。
特に相手の強いスマッシュをネット前に落とすことで、相手の体勢を崩し、その後のロブやプッシュにつなげる展開を作れます。
ダブルスでは、ブロックの価値がさらに高まります。
前衛・後衛の連携の中で、後衛がスマッシュを受けた際に、ネット前に精度の高いブロックを落とせれば、前衛が一気に攻撃に転じることができます。
また、コース選択を誤ると相手前衛にカットされるリスクもあるため、守備戦術とセットでブロックの位置づけを理解しておくことが不可欠です。
ブロックに適したグリップとラケット面の作り方

ブロックの精度を高めるには、まずグリップとラケット面の作り方を見直す必要があります。
多くのプレーヤーが、スマッシュレシーブになると力んで握り込んでしまい、ラケット面が不安定になったり、シャトルが弾かれすぎたりします。
ブロックでは、コンパクトで柔らかいグリップと、面の安定性が何よりも優先されます。
特別な握り方が必要というよりは、基本グリップをベースにしつつ、指の使い方と力の入れどころを理解することが大切です。
また、スマッシュのコースに対して、ラケット面をどの角度で置くかによって、シャトルの高さと長さが大きく変わります。
ほんの数度の違いで、ネットにかかるか、甘く浮くかが決まるため、繊細な感覚を身につける練習が求められます。
この章では、グリップと面作りのポイントを整理しながら、よくある失敗パターンと修正のヒントも解説していきます。
基本はコンチネンタルグリップをベースにする
ブロックに最も適した握りは、多くの場合コンチネンタルグリップ(バックハンドグリップとフォアハンドグリップの中間的な握り)です。
この握りは、フォア・バックどちら側のブロックにも素早く対応しやすく、ネット前の細かいタッチにも向いています。
ラケットのエッジが上を向くように、握手をするような感覚でラケットを持つのが基本です。
ポイントは、常に強く握り込まないことです。
親指と人差し指で輪を作り、その他の指は軽く支える程度にし、シャトルが当たる瞬間にだけ指先で少しだけ締めるイメージを持つと、安定感と柔らかさを両立できます。
グリップの持ち替えが遅い選手は、あらかじめレシーブ時の基本グリップを決めておき、常に同じ位置で構える習慣をつけると良いでしょう。
力みを取る指の使い方と握力コントロール
ブロックで多いミスの一つが、「怖くて強く握りすぎる」ことです。
強打に対して本能的に力んでしまうと、ラケット面が固定されすぎてクッションが効かず、シャトルが高く弾かれてしまいます。
これを防ぐには、握力のオンオフを明確に切り替える感覚を身につけることが大切です。
おすすめなのは、「普段は鉛筆を持つくらいの力」「当たる瞬間だけドアノブを軽く回す程度に締める」といった強さを意識することです。
また、指先での微調整がしやすいように、グリップテープの太さや滑り具合も自分に合ったものを選ぶと、ブロックの安定感が向上します。
日常の素振りでも、指先の感覚を意識しながら握力を出し入れする練習を取り入れてみてください。
ラケット面の角度とフェースコントロール
ブロックの成否を決めるのがラケット面の角度です。
ネット前に短く落としたい場合はやや上向き、相手後衛に少し長めに返したい場合はわずかに前方へ傾けるなど、面の傾きで軌道を制御します。
重要なのは、大きく角度を変えるのではなく、数度単位の微調整で高さと長さを調整することです。
実際の練習では、コーチやパートナーに同じコースへスマッシュを打ってもらい、面の角度だけを変えて複数のコースや高さを打ち分けるドリルが有効です。
慣れてくると、シャトルの回転や押し込み具合を少し変えるだけで、相手が読みづらいブロックを打てるようになります。
フェースコントロールの精度を高めることが、ブロックを武器に変える最短ルートです。
ブロックのフォームと身体の使い方
グリップとラケット面が整っていても、身体の使い方が悪いとブロックは安定しません。
スマッシュレシーブでは、球速に圧倒されがちですが、実際には「構えた位置からほとんど動かない」コンパクトなフォームが理想です。
大振りになるほどタイミングが合わず、面もぶれやすくなります。
また、上半身だけでなく、足幅や膝の曲げ具合、体重移動も、ブロックの安定性に大きな影響を与えます。
特に、腰が高くなると体のブレが大きくなり、強打に押し負けてしまいます。
逆に、低く構えすぎても次の動き出しが遅れ、連続したスマッシュに対応しづらくなります。
この章では、理想的な構えとフォームのイメージを整理し、試合で再現しやすい身体の使い方を解説していきます。
準備姿勢とスタンスの基本
ブロックの準備姿勢では、肩幅よりやや広いスタンスをとり、つま先をわずかに外側へ開きます。
膝は軽く曲げ、かかとをわずかに浮かせることで、左右前後どちらにも素早く反応できる状態を作ります。
背中は丸めすぎず、リラックスした前傾姿勢を保つことが大切です。
ラケットは体の正面、みぞおちから胸の高さあたりに構え、ラケットヘッドはシャトルより少し上に置くイメージで準備します。
これにより、スマッシュが来た方向へ最小限の動きでラケット面を合わせられます。
スタンスと姿勢は地味ですが、ここが崩れるといくら技術があっても安定したブロックは打てません。
レシーブ時の静止画を撮って確認するなど、自分の基本姿勢を客観的にチェックする習慣も有効です。
コンパクトなスイングとインパクトの感覚
ブロックのスイングは「振る」というより「置く」イメージが近いです。
ラケットを大きく引く動きはほとんど必要なく、構えた位置からシャトルの軌道に合わせて数センチ移動させる程度で十分です。
インパクトの瞬間は、ラケット面を進行方向にわずかに押し出すことで、コントロールしながら相手の力を利用できます。
このとき、肩や肘に力が入りすぎると、細かい調整ができず、ネットミスやアウトを誘発します。
肘と手首は柔らかく保ち、最後の瞬間だけ指先で軽く支える感覚を意識すると、クッションの効いたタッチが身につきます。
壁打ちやシャトルを使ったタッチ練習で、インパクト時の音と感触を確認しながら精度を高めていきましょう。
上半身と下半身の連動
強いスマッシュに押し負けないためには、腕だけで受けるのではなく、下半身も含めた全身で衝撃を受け止める意識が必要です。
具体的には、インパクトの瞬間に膝を軽く曲げて沈み込むことで、力を吸収しつつ次の動きに備えます。
上半身を固めてしまうと、衝撃がダイレクトに腕に伝わり、面ブレや怪我の原因にもなります。
また、左右どちらかにわずかに体重を移動させながらブロックすることで、リターン後のフットワークもスムーズになります。
例えば、クロス側へのスマッシュをバックハンドブロックした後、そのまま一歩目を踏み出しやすくするには、インパクトに合わせて体重を移す意識が役立ちます。
フォーム練習の際には、腕と足がバラバラに動いていないかを確認し、動きの一体感を重視しましょう。
前衛・後衛で変わるブロックの戦術的使い方
ブロックは単なる守備技術ではなく、ポジションや戦術によって意味合いが変わります。
特にダブルスでは、前衛と後衛の役割分担がはっきりしているため、どのタイミングでどの方向へブロックを使うかが、得点効率に大きく影響します。
後衛が受けるスマッシュに対し、どの位置へ落とせば前衛が動きやすいか、あるいは相手の陣形を崩せるかを常に考える必要があります。
また、シングルスにおいても、相手の得意なショットや動きに合わせてブロックのコースを変えることで、ラリー展開を有利に進められます。
この章では、前衛と後衛それぞれの立場から見たブロックの戦術的な使い方を整理し、実戦でのコース選択の考え方を紹介します。
後衛でのスマッシュレシーブとしてのブロック
後衛でスマッシュを受ける場面では、ブロックは最も使用頻度が高い選択肢の一つです。
特に相手のスマッシュが速く鋭い場合、無理にドライブで打ち返すよりも、ネット前に短く落としてラリーを立て直す方が合理的です。
重要なのは、「つなぐブロック」と「攻めに転じるブロック」を打ち分けることです。
例えば、自分とパートナーが守備的な体勢に追い込まれているときは、まずはネット前センターへ安全なブロックでつなぐのが定石です。
一方、相手後衛のスマッシュ後の戻りが遅い、もしくは前衛がポジションを空けていると判断できる場合は、クロスネットやサイドライン付近を狙った攻撃的なブロックを選択します。
後衛の判断力が高いペアほど、ブロックを起点に主導権を奪い返す展開を作り出しています。
前衛でのカバーとしてのブロック
前衛の選手も、相手の速いドライブやプッシュに対してブロックを使う場面があります。
前衛でのブロックは、距離が近いため反応時間が短く、よりコンパクトで瞬間的なタッチが求められます。
また、前衛は視野が広く、相手の動きも見えやすいため、「空いている場所へ落とすブロック」を選択しやすいポジションとも言えます。
例えば、相手が前後に広く開いたフォーメーションを取っている場合、ネット前センターに短くブロックすることで、相手二人を同時に動かすことができます。
さらに、相手前衛が積極的に詰めてくるタイプであれば、あえてその頭上を抜くような少し長めのブロックを使うことで、裏をかくことも可能です。
前衛のブロックは、相手の読みを外し、ラリーの流れを変える非常に有効な手段です。
シングルスでの配球としてのブロックの活用
シングルスでは、ブロックは「時間を稼ぐ」「相手を動かす」ためのショットとして重要な位置づけを持ちます。
相手のスマッシュが深いコーナーに決まった場合でも、ネット前へ落ちるブロックが安定していれば、一気にピンチをチャンスに変えることができます。
シングルスはコートカバー範囲が広いため、ブロックを使って相手に前後の移動を強いることが有効です。
具体的には、相手がバックハンド側からスマッシュを打ってきた際に、同じバックハンド側ネット前にブロックを落とすと、相手は長い距離を走らなければならず、大きなプレッシャーを与えられます。
逆に、あえてクロス側へブロックし、次のロブやクリアと組み合わせてコート全体を使った配球を構築することもできます。
シングルスでは、スタミナやフットワークと連動した戦術的ブロックの使い方を意識しましょう。
ブロックのコース選択と配球の考え方
ブロックを本当に武器にするには、「どこへ返すか」という配球の考え方が不可欠です。
同じクオリティのブロックでも、コース選択一つで、相手へのプレッシャーは大きく変わります。
さらに、相手の陣形や癖、自分とパートナーのポジションを踏まえて、リスクとリターンを計算することが上級者の視点です。
ここでは、実戦でよく使われるブロックのコースと、そのメリット・デメリットを分かりやすく比較しながら解説します。
自分の得意パターンを作りつつ、相手によってアレンジできる柔軟性を持つことで、ブロックからのラリー展開が一段と豊かになります。
ストレートブロックとクロスブロックの違い
ストレートブロックは、相手スマッシュの軌道に対して真っ直ぐ同じサイドへ返すコース、クロスブロックは対角線側へ返すコースです。
ストレートは距離が短く、ネットまでの時間も短いため、相手にとって拾いにくい返球になりやすい反面、コースが読まれると前衛に詰められやすい面もあります。
クロスブロックは、相手から見ると予測しづらく、移動距離も長くなるため、決まれば一気に主導権を握れますが、ネットを超える距離が長いため、少しでも浮くとカウンターを受けるリスクが高くなります。
状況に応じて、ストレートを基準にしつつ、相手が前に寄ってきたタイミングでクロスを混ぜるなど、配球の「比率」を意識することがポイントです。
センターへのブロックとサイドへのブロック
ダブルスでは、センターへのブロックとサイドへのブロックで、戦術的な意味が大きく異なります。
センターへのブロックは、相手二人の間を狙うことで、お見合いやポジションの迷いを誘発できるショットです。
特に相手ペアの連携が甘い場合や、左右の利き腕が異なる組み合わせには有効です。
一方、サイドへのブロックは、相手を大きく動かしやすく、次の攻撃につなげやすいメリットがありますが、コースが明確なため、読みが合うと前衛にカットされやすい側面もあります。
自分たちのポジションと相手のフォーメーションを見ながら、センターとサイドの使い分けを意識することで、ブロック一つでもラリー展開の幅を大きく広げることができます。
リスクとリターンを整理したコース選択表
以下の表は、代表的なブロックコースの特徴を、リスクとリターンの観点から整理したものです。
状況判断の際のイメージ作りに役立ててください。
| コース | 主なメリット | 主なリスク |
| ストレート前 | 距離が短く決まりやすい 基本コースとして安定 |
読まれると前衛にカットされやすい |
| クロス前 | 相手を大きく動かせる 意表を突きやすい |
ネットにかかりやすい 浮くとカウンターを受けやすい |
| センター前 | お見合いを誘いやすい 守備から攻撃に転じやすい |
精度が低いと甘くなりやすい |
| サイドライン付近 | 相手の戻りを遅らせやすい | アウトのリスクが高い |
このように、どのコースにも長所と短所があります。
大切なのは、一つのコースに固執せず、相手の特徴や試合の流れを見ながら、複数の選択肢を組み合わせることです。
普段の練習からコースを意識して打ち分けることで、試合での判断も自然と早くなっていきます。
ブロックを安定させるフットワークとポジショニング
ブロックの成功率を上げるためには、ラケットワークだけでなく、フットワークとポジショニングが極めて重要です。
特にスマッシュレシーブでは、一歩目の反応と、打つ直前の微調整ステップが結果を大きく左右します。
どれだけ技術が高くても、ポジションが遅れて体の横や後ろで受けざるを得ない状況では、精度の高いブロックは打てません。
また、ペアの立ち位置や相手の打点に応じて、事前に立ち位置を数十センチ単位で調整しておくことも、レベルが上がるほど重要になります。
ここでは、ブロックを安定させるための基本的なフットワークと、よくあるポジショニングのミスと対策について解説します。
レシーブ時のスタンスと一歩目の反応
スマッシュレシーブでは、一歩目の反応速度が全てと言っても過言ではありません。
スタンスはやや広めにとり、つま先立ちに近い状態で、どちらの方向へも動き出せるようにしておきます。
相手のスイング開始と同時に、わずかに沈み込むように重心を下げることで、爆発的な一歩目を生み出しやすくなります。
また、レシーブの構えを取ったら、ラケットを無駄に上下させないことも大切です。
手元が動いていると、視線とタイミングが狂いやすくなります。
一歩目は大きく踏み出すのではなく、必要最低限の距離でシャトルの落下点へ近づき、最後は小さな調整ステップで位置を合わせるイメージを持つと、安定したインパクトが可能になります。
ネットに詰める距離感とポジション調整
ブロックを狙う際のネットとの距離感は、攻守のバランスを左右する重要な要素です。
ネットに近づきすぎると、ロブやドリブンクリアに対応しづらくなり、遠すぎるとネット前に落ちるブロックが難しくなります。
自分の反応速度と相手のスマッシュの質を踏まえ、「一歩でネット前に届く距離」を基準にポジションを調整しましょう。
また、相手が打つ前の位置取りも重要です。
相手がクロス気味にスマッシュを打ちやすい体勢にある場合は、あらかじめ半歩ほどクロス側に寄せるなど、小さな調整を習慣にすると対応範囲が広がります。
試合中は、相手の打点やラケットの振り出し方向を観察しながら、数センチ単位でポジションを変える意識を持つと良いでしょう。
よくあるポジショニングミスと修正方法
よくあるミスの一つが、「常に同じ位置で構えてしまう」ことです。
相手のレベルやコース傾向が変わっても、ポジションが固定されたままでは、取りやすいスマッシュと取りづらいスマッシュの差が大きくなります。
まずは、自分が特に苦手とするコース(例:クロススマッシュ、ボディスマッシュなど)を把握し、そのコースに対して半歩だけ有利になる位置を探してみましょう。
もう一つは、「ボディに対して下がりすぎる」ミスです。
体に向かってくるスマッシュを怖がって後ろに下がると、シャトルを体の横や後ろでしか触れず、ブロックが浮きやすくなります。
ボディスマッシュに対しては、むしろ一歩前へ踏み込みながら、体の前で面を作ることを意識すると、安定したブロックにつながります。
動画撮影などで自分のポジショニングを確認し、具体的な修正点を洗い出すことも有効です。
ブロック力を高める練習メニューとドリル
ブロックは試合の中で自然と身につくものではなく、目的を絞った練習によって精度が大きく向上します。
特に、反復練習によりラケット面の感覚を身体に染み込ませることが重要です。
ここでは、個人でもペアでも取り組みやすい練習メニューを紹介し、段階的にブロック力を鍛える方法を解説します。
練習では、「スピードよりもまずコントロール」「回数よりも一本一本の質」を意識することが大切です。
さらに、ゲーム形式の中で実践するメニューを取り入れることで、試合でも自然にブロックを選択できるようになります。
シャトル出しによる基礎ブロック練習
最も基本的な練習は、コーチやパートナーにスマッシュ気味のシャトル出しをしてもらい、それに対してネット前へブロックを繰り返すドリルです。
このとき、速度をいきなり最大にせず、最初はやや遅めのスマッシュから始めることで、フォームや面の角度に意識を向けやすくなります。
コースを固定して行う練習と、ストレート・クロス・センターなど複数コースを混ぜる練習を組み合わせると効果的です。
また、左右交互にスマッシュ出しをしてもらい、フットワークを伴ったブロック練習に発展させていくと、実戦的な感覚が身につきます。
目標として、ネットからの高さ数センチ以内に落とせる割合を徐々に増やしていくことを意識しましょう。
ゲーム形式での制限付きレシーブ練習
基礎が身についてきたら、ゲーム形式に近い練習でブロックの判断力を鍛えます。
例えば、「レシーブ側は必ず1本目をブロックで返す」「クロスブロックは禁止でストレートのみ」など、あえて制限をつけることで、特定の状況での精度を高めることができます。
また、「ブロックで相手を動かした後の3球目」を決めるパターン練習も有効です。
ブロック後に前衛がプッシュで決める、または後衛がクロスネットに詰めるなど、ペアとしての連携を意識したメニューを取り入れることで、試合の中でブロックが生きてきます。
ゲーム形式の練習では、プレッシャー下でどれだけ落ち着いてブロックを選択できるかを意識しましょう。
一人でもできるタッチ感覚向上ドリル
パートナーがいないときでも、ブロックのタッチ感覚を鍛えることは可能です。
代表的なのは、壁打ちや、天井へ向けて軽くシャトルを当て、一定の高さで落とす練習です。
強く打つのではなく、ラケット面に乗せて運ぶような感覚を養うことが目的です。
また、ラケットとシャトルだけを使い、ネット前の高さを想定して「何度連続でネットを越えるギリギリの高さにコントロールできるか」といったチャレンジ形式のドリルを行うのも効果的です。
これらの練習は短時間でも取り組みやすく、毎日のウォーミングアップに取り入れることで、ブロックだけでなくネットプレー全般のタッチ向上にもつながります。
試合でブロックを有効活用するためのメンタルと判断
ブロック技術があっても、試合になると怖くて使えない、つい強く打ち返してしまうという悩みを持つ選手は少なくありません。
これは技術だけでなく、メンタルや判断の問題が大きく関わっています。
強打を受ける場面では誰しもプレッシャーを感じますが、その中で冷静に最適な選択を下すためには、あらかじめ「どの状況でブロックを使うか」を明確に決めておくことが重要です。
また、ミスを恐れすぎると消極的なレシーブになり、逆に失点を重ねる原因にもなります。
この章では、試合でブロックを積極的に活用するためのメンタル面の整え方と、実戦で役立つ判断の基準について解説します。
怖さを軽減するイメージトレーニング
スマッシュレシーブの怖さを軽減するには、まず「ブロックで返しても大丈夫」という成功体験を積み重ねることが大切です。
練習の中で、意識的にブロックだけを使う時間を作り、小さな成功を積み重ねることで、徐々に恐怖心は薄れていきます。
同時に、試合前のイメージトレーニングも有効です。
具体的には、相手が強いスマッシュを打ってくる場面を頭の中で再現し、自分が落ち着いてブロックで返球し、ラリーを有利に展開していく様子を詳細にイメージします。
このとき、「うまくいかなかったらどうしよう」と考えるのではなく、「こう返したらこう展開する」とポジティブなシナリオを描くことがポイントです。
繰り返しイメージすることで、実際の試合で同じ場面が来たときにも、体が自然とその選択を取りやすくなります。
ブロックを選択するシーンの優先順位
試合の中で常にブロックを選ぶ必要はありませんが、「優先的にブロックを使いたい場面」をいくつか決めておくと判断がスムーズになります。
例えば、自分やペアが体勢を崩しているとき、相手後衛のスマッシュが非常に強いと感じたとき、ラリーを立て直したいときなどが挙げられます。
逆に、相手のスマッシュがそれほど速くなく、自分が前に詰めている状況であれば、あえてドライブやカウンターで攻撃的に返す選択も有効です。
このように、「守りの場面ではブロックを基本にする」「攻撃に転じられる場面では他のショットも使う」といった大まかな指針を持つことで、迷いが減り、結果的にミスも減少します。
試合後には、自分がどの場面でどんな選択をしたかを振り返り、判断基準を少しずつアップデートしていきましょう。
ペアとのコミュニケーションと役割分担
ダブルスにおいては、ブロックの有効活用にはペアとのコミュニケーションが不可欠です。
特に、「どのコースへのブロックを前衛が担当するか」「後衛がブロックした後の動き方」など、役割分担を事前に話し合っておくことで、連携ミスを大幅に減らせます。
例えば、「クロス側へのブロックは前衛が積極的に詰める」「センターへのブロックの後は前衛が一歩下がり、後衛が上がる」など、具体的なルールを決めておけば、試合中に迷いが生じにくくなります。
また、試合中にうまくいかなかった場面があれば、休憩時間に短く相談し、その場で修正していくことも重要です。
ペアとしての共通認識が整うほど、ブロックは強力な連携武器となります。
まとめ
ブロックは、バドミントンにおける守備技術の中でも、最も戦術的な価値が高いショットの一つです。
単にスマッシュを返すだけでなく、相手を前後左右に動かし、守りから攻めへと展開を切り替える起点にもなります。
そのためには、グリップやラケット面の作り方、コンパクトなフォーム、適切なフットワークとポジショニング、そして状況に応じたコース選択と判断が欠かせません。
この記事で解説した基本原則と練習メニューを、自分のレベルやプレースタイルに合わせて取り入れていけば、ブロックは確実に安定していきます。
ブロックが安定すれば、スマッシュを受ける場面でのプレッシャーが軽減され、ラリー全体を落ち着いてコントロールできるようになります。
一つ一つのショットの質を高めながら、ブロックを自分の大きな武器に育てていきましょう。
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